始末書とは?書き方・注意点をわかりやすく解説
始末書とは?
始末書(しまつしょ)とは、業務上のミスや規則違反などの不祥事が起きた際に、事実経過・原因・謝罪・再発防止策を記載し、会社に提出する文書です。
懲戒処分や社内判断の資料になるため、内容は正確かつ簡潔であることが求められます。
▼そのまま使えるシーン別例文集はこちら
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提出が求められる主なケース
- 就業規則違反(度重なる遅刻・無断欠勤 等)
- 業務ミスによる損害発生(製造ライン停止、顧客データ紛失 等)
- ハラスメント行為やSNS炎上など会社の信用を損ねたとき

顛末書・反省文との違い
文書 | 目的 | 重点 | 提出者 |
---|---|---|---|
始末書 | ミスの報告+謝罪・再発防止 | 反省と謝罪 | 当事者本人 |
顛末書 | 事実経過の詳細報告 | 客観的経緯 | 当事者または第三者 |
反省文 | 自己の行動を振り返る | 内省・再起 | 当事者本人 |

始末書は“反省と謝罪”に重きを置く点が他の文書と最も異なります。
基本構成と書き方ポイント
令和○年○月〇日
始末書
代表取締役 ○○○○殿
○○部 山田 太郎
〇年〇月〇日〇時頃から〇時頃にかけて〇〇の業務を行っていた際、私の〇〇により〇〇が発生し、結果として〇〇という事態に至りました。
直接的要因は私の〇〇であり、背景として〇〇がありました。業務手順の確認不足と注意力の欠如が主な原因です。
今後は〇〇を徹底し、加えて〇〇の見直しを行います。再発防止策を確実に実行し、同様の事態を招かないよう努めます。
本件に関する全責任は私にあります。以後、職務に対する自覚を持ち、信頼回復に尽力いたします。
以上
- タイトル:「始末書」または就業規則で定められた名称
- 宛名:代表者名
- 提出日:西暦または和暦で明記
- 所属・氏名・押印
- 本文
- 発生日時・場所・事案の概要
- 詳細な経緯と原因
- 迷惑を掛けた事実への謝罪
- 再発防止策・誓約
- 締めくくり:「以上」で結ぶ
内容は事実を時系列で整理し、「言い訳をしない」「主語を明確にする」ことが読み手の理解を助けます。
例文・記入例
職場で特に発生しやすい6つのケースを想定した例文を用意しました。各パターンとも「概要」「謝罪」「原因」「対策」の流れを押さえているため、そのまま参考にするだけでなく、自社のルールや事情に合わせて加筆修正しやすいフォーマットになっています。
遅刻・欠勤
交通遅延や体調不良で定刻出社できなかった際にそのまま提出できる汎用フォーマット
【事案の概要】 公共交通機関の大幅な遅延を事前に確認できず、定刻までに出社できませんでした。その結果、朝礼およびチーム内のタスク共有に遅れが生じ、関係部署へ負担をかけました。 【原因】 前日夜の時点で天候不良によるダイヤ乱れ情報を十分に把握せず、出発時刻にも余裕を見なかったことが主因です。危機管理意識が不足していました。 【影響】 顧客への定例報告資料の提出が10分遅延し、先方の会議開始を調整していただく事態となりました。社内では朝礼資料の共有が遅れ、後続タスクに一部遅延を発生させました。 【再発防止策】 前日夜と当日早朝に交通情報を確認し、遅延時は代替経路を即時検討します。出発を15分早め、定刻30分前到着を目標とします。加えて、万一の遅延時にはオンライン参加や電話連絡で速やかに状況を共有します。
業務上のミス
データ入力・計算間違いなど業務遂行上の誤りを報告するためのテンプレート
【事案の概要】 売上データ入力作業において、取引先A社とB社の金額を取り違え、合計120万円の計上ミスを発生させました。結果として月次の売上速報値が誤って社内共有され、経営層の意思決定に影響を及ぼしました。 【原因】 類似した案件番号を確認不足のままコピー&ペーストしたこと、ダブルチェックを怠ったことが根本要因です。作業工程の標準化に対する理解が不十分でした。 【影響】 経営会議用の資料を翌日に再作成する必要が生じ、経理部と関係部署に追加工数が発生しました。また、社外向け速報レポートの訂正連絡を要し、信用低下の恐れが生じました。 【再発防止策】 入力作業完了後にチェック表を用いて案件番号・金額を2名で確認する体制を構築します。併せて、入力画面にカラーラベルを設定し、類似案件の誤認を防止します。定期的に操作手順を共有し、ヒューマンエラー削減を図ります。
不適切な言動
会議やチャットでの不適切発言・ハラスメントが発生した際の反省用フォーマット。
【事案の概要】 進捗会議において、自身の担当工程の遅れを指摘された際に感情的となり、同僚の意見を遮る発言をしました。結果として会議の雰囲気を悪化させ、議論を中断させました。 【原因】 タイトな納期に対する焦りから自己防衛的な態度をとったことが原因です。傾聴姿勢とチームワーク意識が欠如していました。 【影響】 参加メンバーの士気を下げ、意思決定の遅延を招きました。また、プロジェクトマネージャーがフォローアップのため追加ミーティングを設定する必要が生じました。 【再発防止策】 アンガーマネジメント研修を受講し、感情を整理する技法を習得します。発言前に深呼吸し、相手の意見を最後まで聞く「一呼吸ルール」を徹底します。会議後の議事録確認で発言内容を振り返り、適切なコミュニケーションを継続的に実践します。
社内ルール違反
就業規則や情報セキュリティ規程など社内ルールを逸脱した場合の報告用
【事案の概要】 昼休憩後の決められたフレックスタイムコア内(13:00まで)に戻らず、13:20に着席しました。事前申請なしの離席延長は就業規則第○条に抵触します。 【原因】 個人的な用件を優先し、社内ルールの重要性を軽視した意識の甘さが原因です。規則の再確認を怠っていました。 【影響】 午後の定例進捗確認が遅れ、チームメンバーの作業開始が遅延しました。ルールの形骸化を招き、職場規律へ悪影響を与えました。 【再発防止策】 就業規則を読み直し、遵守事項をチェックリスト化してデスクに掲示します。私用の外出が必要な場合、必ずSlack及び勤怠システムで事前申請を行います。リーダーと週次で勤怠状況を振り返り、ルール順守を習慣化します。
会社備品の破損
社用PCや備品を破損・紛失した際に使用する報告テンプレート
【事案の概要】 プロジェクターの移動中、電源コードを十分に結束せずに転倒させ、レンズ部分を破損させました。修理費見積額は約5万円です。 【原因】 時間に追われるあまり、安全手順を省略し、備品の取扱説明に従わなかったことが要因です。備品管理に対する責任感が不足していました。 【影響】 当日の顧客向けプレゼンを他会議室に移動して対応する必要が生じ、準備時間が短縮されました。部署の経費負担が増加し、社内リソースを一時的に圧迫しました。 【再発防止策】 備品移動時は2名以上で作業し、コード類は付属バンドで固定します。備品管理マニュアルを再確認し、月次チェックリストに安全手順を明記します。備品取扱いに関する社内研修への参加を必須とし、再発防止に努めます。
始末書(顧客情報紛失)
顧客の個人情報を含む書類やUSBを紛失・漏えいした場合の緊急報告用
【事案の概要】 営業先移動中に顧客名簿が保存されたUSBメモリを紛失しました。当該メモリには氏名・連絡先を含む100件分の個人情報が暗号化なしで保存されていました。 【原因】 PCへデータ移行後に速やかに削除せず、USBメモリを鞄の外ポケットに入れるという管理不備が原因です。社内情報セキュリティポリシーに対する認識不足がありました。 【影響】 個人情報保護法に基づく報告義務が発生し、顧客へのお詫びと再発防止策の説明が必要となりました。信用失墜リスクおよび法的リスクが高まりました。 【再発防止策】 外部記憶媒体の使用を原則禁止し、やむを得ず使用する場合は社内承認とAES暗号化を必須とします。情報セキュリティ教育を受講し、半年ごとの理解度テストを実施します。物理的な管理として、社給バッグの内ポケットに媒体専用ケースを固定し、紛失防止タグを装着します。
▼その他例文はこちら
よくある失敗例と注意点

虚偽記載:後に発覚すると処分が重くなるため絶対に避ける
原因が不明確:自分の責任範囲を曖昧にすると再発防止策も曖昧になる
専門用語の多用:読み手が人事や経営層の場合、平易な言葉で説明する
提出の遅延:トラブル収束後すみやかに提出することで誠意が伝わる
テンプレート・ひな形で簡単作成
無料・登録不要で使えるWordテンプレートをご紹介します。シンプル型・表形式・色付きなど用途で選択でき、空欄を埋めるだけで基本要件を満たした始末書が作成可能です。
テンプレートを使うメリット
- フォーマットに迷わず作成時間を短縮
- 抜け漏れ防止(発生日時・再発防止策欄など)
- 社内共有がしやすい(Word形式ならバージョン管理も容易)
よくある質問(Q&A)
Q. 手書きとパソコン、どちらが良い?
A. 社内規程に指定がない場合はパソコンで作成しても問題ありません。謝罪文面は丁寧語で整え、押印を忘れないようにしましょう。
Q. 宛名は誰にすべき?
A. 通常は会社名と代表取締役、部署単位の小規模企業なら所属長宛てとする例もあります。
Q. 印鑑は必須?
A. 会社文化によりますが、正式文書として提出するため認印を押すケースが一般的です。
\その他の質問・疑問があれば/
まとめ
始末書は「事実の説明」「謝罪」「再発防止策」という三つの柱で構成されるビジネス文書です。テンプレートを活用しつつ、誠実かつ迅速に作成・提出することで信頼回復への第一歩を踏み出しましょう。