始末書とは?書き方・注意点をわかりやすく解説
始末書とは?
始末書(しまつしょ)とは、業務上のミスや規則違反などの不祥事が起きた際に、事実経過・原因・謝罪・再発防止策を記載し、会社に提出する文書です。
懲戒処分や社内判断の資料になるため、内容は正確かつ簡潔であることが求められます。
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提出が求められる主なケース
- 就業規則違反(度重なる遅刻・無断欠勤 等)
- 業務ミスによる損害発生(製造ライン停止、顧客データ紛失 等)
- ハラスメント行為やSNS炎上など会社の信用を損ねたとき

顛末書・反省文との違い
文書 | 目的 | 重点 | 提出者 |
---|---|---|---|
始末書 | ミスの報告+謝罪・再発防止 | 反省と謝罪 | 当事者本人 |
顛末書 | 事実経過の詳細報告 | 客観的経緯 | 当事者または第三者 |
反省文 | 自己の行動を振り返る | 内省・再起 | 当事者本人 |

始末書は“反省と謝罪”に重きを置く点が他の文書と最も異なります。
基本構成と書き方ポイント
令和○年○月〇日
始末書
代表取締役 ○○○○殿
○○部 山田 太郎
〇年〇月〇日〇時頃から〇時頃にかけて〇〇の業務を行っていた際、私の〇〇により〇〇が発生し、結果として〇〇という事態に至りました。
直接的要因は私の〇〇であり、背景として〇〇がありました。業務手順の確認不足と注意力の欠如が主な原因です。
今後は〇〇を徹底し、加えて〇〇の見直しを行います。再発防止策を確実に実行し、同様の事態を招かないよう努めます。
本件に関する全責任は私にあります。以後、職務に対する自覚を持ち、信頼回復に尽力いたします。
以上
- タイトル:「始末書」または就業規則で定められた名称
- 宛名:代表者名
- 提出日:西暦または和暦で明記
- 所属・氏名・押印
- 本文
- 発生日時・場所・事案の概要
- 詳細な経緯と原因
- 迷惑を掛けた事実への謝罪
- 再発防止策・誓約
- 締めくくり:「以上」で結ぶ
内容は事実を時系列で整理し、「言い訳をしない」「主語を明確にする」ことが読み手の理解を助けます。
例文・記入例
職場で特に発生しやすい6つのケースを想定した例文を用意しました。各パターンとも「謝罪」「原因」「対策」の流れを押さえているため、そのまま参考にするだけでなく、自社のルールや事情に合わせて加筆修正しやすいフォーマットになっています。
度重なる遅刻・欠勤
このたび私が度重なる遅刻・欠勤を繰り返し、業務運営ならびに同僚の皆様に多大なご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。
原因は自己管理の不足および体調管理の甘さにあり、社会人としての自覚が欠けておりました。
今後は就寝・起床時間を固定し、健康管理アプリを導入して体調の記録を徹底するとともに、始業30分前の出社を厳守いたします。二度とこのような事態を起こさないことをここに誓います。
報告書の提出期限遅延
○月○日締切の顧客分析報告書を期限までに提出できず、プロジェクト全体の進行に支障を来しました。
遅延の主因は、進捗管理を怠りタスクを過小評価したことにあります。
再発防止策として、毎朝タスク進捗を上司に共有し、週次でガントチャートを更新します。また、レビュー日を締切の前日に設定することで余裕を確保します。
本件を深く反省し、職務を全うする所存です。
顧客情報の誤送信
私が○月○日、誤って別顧客宛てに見積書を添付し送信したことで、個人情報保護方針に反する事態を招きました。
原因は、送信先アドレスの自動補完を確認せず送信した不注意と、ダブルチェック体制の不備です。
再発防止として、①メール送信前に宛先・添付ファイルを必ず口頭で第三者確認、②自動補完機能の無効化を実施しました。
多大なご迷惑をお掛けしたことを深く反省し、再発の防止に努めます。
職場ハラスメント発言
○月○日の会議中、部下に対し不適切な発言を行い、心理的負担を与えたことにつき、深くお詫び申し上げます。
原因は、部下の提案を正当に評価せず感情的に叱責した私の指導方法の未熟さにあります。
再発防止のため、①ハラスメント防止研修への参加、②1on1面談での対話姿勢の見直し、③第三者同席の評価面談を導入します。
職場環境の改善と信頼回復に全力を尽くす所存です。
社用車での物損事故
○月○日、社有車運転中に安全確認を怠り、構内の柱に接触して社有車及び設備を損傷させました。
原因は、バックミラーの死角を確認せず後退した私の不注意です。
今後は運転前点検と後退時の誘導員配置を徹底し、安全運転講習を受講します。再発防止を最優先とし、安全意識を改めます。
ご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。
機密資料の社外持出し未遂
○月○日、社外プレゼン資料作成のため社内限定資料を無許可でUSBメモリにコピーし、持ち出そうとした行為が発覚しました。
原因は、社外での作業効率を優先し、社内規定を軽視した私の判断ミスです。
再発防止策として、①機密情報取扱い規定の再読、②社外作業時はVDIを利用しデータを社外に持ち出さない、③月次で情報管理チェックリストを提出します。
信頼を損ねたことを心よりお詫びし、厳守を徹底いたします。
よくある失敗例と注意点

虚偽記載:後に発覚すると処分が重くなるため絶対に避ける
原因が不明確:自分の責任範囲を曖昧にすると再発防止策も曖昧になる
専門用語の多用:読み手が人事や経営層の場合、平易な言葉で説明する
提出の遅延:トラブル収束後すみやかに提出することで誠意が伝わる
テンプレート・ひな形で簡単作成
無料・登録不要で使えるWordテンプレートをご紹介します。シンプル型・表形式・色付きなど用途で選択でき、空欄を埋めるだけで基本要件を満たした始末書が作成可能です。
テンプレートを使うメリット
- フォーマットに迷わず作成時間を短縮
- 抜け漏れ防止(発生日時・再発防止策欄など)
- 社内共有がしやすい(Word形式ならバージョン管理も容易)
よくある質問(Q&A)
Q. 手書きとパソコン、どちらが良い?
A. 社内規程に指定がない場合はパソコンで作成しても問題ありません。謝罪文面は丁寧語で整え、押印を忘れないようにしましょう。
Q. 宛名は誰にすべき?
A. 通常は会社名と代表取締役、部署単位の小規模企業なら所属長宛てとする例もあります。
Q. 印鑑は必須?
A. 会社文化によりますが、正式文書として提出するため認印を押すケースが一般的です。
\その他の質問・疑問があれば/
まとめ
始末書は「事実の説明」「謝罪」「再発防止策」という三つの柱で構成されるビジネス文書です。テンプレートを活用しつつ、誠実かつ迅速に作成・提出することで信頼回復への第一歩を踏み出しましょう。